アスラン生誕記念リレー小説

 

 

「俺じゃ、駄目か?」

 

 

 

 

 

唐突に、呟いた声が震えてる事に気付いた

僕が驚いて顔を上げると、苦しそうに顔を歪めるアスランの碧玉に息が詰まった

 

 

 

――駄目じゃない。

――問題は僕の方にあるんだ。

 

 

 

だけど、どうしてもそれが言葉に出来なかった

 

ただ胸の痛みだけが僕の心を支配して、アスランの震える身体に抱き締められては何も出来なくなった

 

 

 

 

 

「…っちが…!」

「不安?今、キラを悩ませる程に、俺は」

 

 

 

 

 

一層力を込める腕から抜け出す事など、出来る筈も無いのに。

 

 

 

 

 

「…違う、違うんだよ…アスラン。…僕が、」

「…キラ?」

「僕が、君を、縛り付けても良いのか、って…駄目だと思うのに、どうしても、僕はっ…!」

 

 

 

 

 

頬に熱い何かが伝った

そっと、壊れ物を扱う様に僕の頬に触れたアスランに驚いて、俯いていた顔を再び合わせる

 

目尻を舐めて、涙を拭う彼を呆然と見つめた

 

 

 

 

 

「…ア、スラ…ン…?」

「嬉しい。有難う、キラ」

「な、何言って…」

「俺を、それだけ想っててくれたんだろう。嬉しいよ、キラ」

 

 

 

 

 

軽く触れた唇が離れて、ずっと穏やかそうなアスランの顔を見た

片方の瞳から零れる涙が、凄く 神聖に思えて

それでも僕だけを想うアスランに、考える事すら馬鹿々々しくなってきた

 

 

 

 

 

「だから、泣くなよ」

「アスランだって泣いてるじゃないか」

「…え?」

「……気付いてなかった、もしかして?」

「………それでも、大泣きしてたキラよりマシ」

「あのさ、五十歩百歩って言葉知ってる?」

「煩い。」

 

 

 

 

 

笑い合って、今日も変わらぬ一日が始まって、終って

ああ、これで良いんだと

理解したら、今度は嬉しくなった。

 

 

 

 

ねぇ、僕は

君と一緒に居られる事を、何より嬉しいと思ってるよ。

 

 

 

 

+++++++++++++++++++
リレー第六弾ですv
アスランが泣くなんて思ってもいませんでした。
すごく得した気分(え?)
うれしいです。楽しいです。
今女子12楽坊の”世界にひとつだけの花”聞いてます。
なんだかぴったりでうれしくなっています。
いいですね、アスランとキラの相思相愛。
この二人はこうやってお互いを思いやって
甘いのが一番です。