純白のドレス   4

昨晩の情事のあとキラはまだ眠っている。

アスランは一足先に起きるとシャワーを浴び身支度を整える。

 

やっと結ばれた愛しい恋人の寝顔を見ながら

 

「はぁ〜」

 

と大きなため息をもらす。

 

それもそのはず、今日は自分とラクスとの結婚披露宴なのだから。

 

何度も断ったのだがどういう訳かラクスは首を縦に振ってはくれなかった。

時間だけが無常にも過ぎていき、とうとう当日になってしまった。

 

 

「今からでも遅くない。式の時に誓わなければいいんだ。」

 

 

そこでフッとアスランの頭によぎった疑問。

 

 

「そういえば何で式の前に披露宴をやるんだ?

 しかも披露宴の日時は知らされていたが式の話はなかった。」

 

 

とりあえず頭を冷やそうと部屋の外に出ると、そこにラクスが待っていた。

 

 

「ラ、ラクス!?」

 

「おはようございます、アスラン。昨日はごゆっくりおやすみになれまして?」

 

「あ、いや、その〜」

 

「アスラン、お話がありますの。」

 

 

そういうと側で控えていた数人の男にアスランは両腕を抱えられどこかへ連れて行かれた。

 

その様子を見ていたイザークはラクスの合図で部屋に入った。

そこにはまだ眠ったままのキラがいる。

 

キラのさらさらな栗色の髪をなでると少しキラの睫毛が揺れた。

 

 

「う・・ん・」

 

「キラ、起きたか?」

 

「ん?う・・ん・・イザー・・ク?」

 

 

昨日の情事の為かいつも以上にキラの仕草は妖艶だ。

おもわず抱きしめてキスをしたい衝動に駆られたが自分の役割を思い出し、理性をパワーアップさせて、さり気なく言葉を続ける。

 

 

「おい、キラ。ちょっと付き合え。」

 

「え?これから?」

 

「そうだ、今すぐに。」

 

「でも僕・・・」

 

「体が辛いなら俺が連れて行ってやる。」

 

 

何でイザークが昨日の事知ってるんだろう?と思うと恥ずかしさで真っ赤になる。

すぐにでも連れて行こうとするイザークに

せめてシャワーを使う時間だけでも欲しいとお願いした。

 

シャワーを浴びながら自分の体についている無数のキスマークに

昨日のことを思い出し真っ赤になったが、次の瞬間急に悲しくなった。

 

「今日はアスランの結婚式なんだよね。もう僕のアスランじゃないんだ・・」

 

そう思うとキラの瞳から涙がこぼれた。

 

バスルームから出てきたキラの目は充血していて泣いたのがひと目でわかった。

イザークは何も言わずにキラの瞼に軽くキスをすると抱きかかえて部屋を出た。

 

 

 

アスランは苛立っていた。

 

何も言われずに連れてこられた場所は自分たちの披露宴会場でそのまま白のタキシードを着せられ、花嫁の控え室に行くように言われたのだ。

 

「まったく俺が逃げるとでも思ったのか!そんな卑怯者ではないぞ。」

 

部屋の前に着くと深呼吸をし軽くノックをする。

 

「ラクス?入るぞ。」

 

そこには自分と同じ真っ白なウエディングドレスを着た花嫁が長椅子に座っていた。

白のヴェールと俯いたままなので表情が見えない。

が、緊張しているのかいつもの彼女らしくない様子に少々驚き近づこうとした。

 

 

「いかがですか?アスラン。とっても綺麗でしょう?」

 

 

自分の前に居るはずのラクスの声が何故か後ろから聞こえる。

 

 

「え?」

 

 

振り向くとそこにはピンクのカクテルドレスを着たラクスが微笑んでいた。

 

 

「え?ラクス!?それじゃ前にいる花嫁は?」

 

 

アスランは急いで駆け寄りヴェールを上げる。

 

 

「ア・・スラン・・」

 

「キラ!?おまえどうして?(しかし、なんてかわいいんだvv)」

 

「まだわかりませんの?今日はアスランとキラさまの結婚式ですのよ?」

 

「「ええ〜!?」」

 

「私言いましたでしょ?アスランの悲しむような事はしないって。」

 

「ラクス、これは一体どういうことだ?説明してもらおうか。」

 

「アスランがキラさまを好きだという事は知っておりましたわ。

 ですからザラお義父さまに婚約を破談にしていただくように申しましたのですが聞き入れていただけなくて。

 それで当日なら嫌とは言えないと思いまして皆様にお手伝いをしていただきましたの。」

 

「皆様って?」

 

「俺たちのことさ。」

 

 

そういうとイザークを先頭にディアッカ、サイが入ってくる。

 

 

「私たちも居る事をお忘れなく。」

 

「ラミアス艦長!?」

 

「俺もいるぜ?ボウズ。」

 

「ムウさん!?」

 

「女よりかわいい弟を持つのもなんだけどさ。」

 

「カガリまで!?」

 

 

 

皆が自分たちの事を理解してくれている。

心配してくれて・・そして愛してくれている・・・

 

キラもアスランも嬉しくて胸がいっぱいだった。

 

 

「それで?お前たちの気持ちは?」

 

「そりゃあ」

 

「もちろん」

 

 

『『 いつまでも一緒に。永遠の愛を誓います 』』


作者、リズさまのコメント


突発的にキラ花嫁ストーリーが書きたくなって、出来たお話です。
何度も書き直したせいかシリアスパロのはずがギャグになってしまって・・・
キラの花嫁姿はみなさんで想像してください。(^^;)

最後はみんなに祝福されて結ばれる二人ですが、
イザークが微妙に可哀想な気がするのは気のせいでしょうか・・・

当日に花嫁をすり替えるなんて私の手を離れ暴走してくれたラクスに感謝です。
これならザラ父ちゃんも反対できないでしょう!






+++++++++++++++++++++++++++

純白のドレスも、完結しましたv
最後に二人一緒に愛を誓ったのが印象的です。
にしても、ラクスに感謝感謝ですね。
イザークが確かにかわいそうですが。
ここまでくれば、いくらザラ父が反対しても、
アスランが愛の力でキラを守り抜くことでしょうv

リズ様、素敵小説をありがとうございましたvv